お客さまの真のニーズに応えよう─。そんな思いで、下請けからの独立を決意。30年以上技を磨いた大工として家づくりを知り尽くす渡部さんは、今も現場で指揮を執っています。
私は長らく大工としてハウスメーカーの仕事をしていました。約35年で1000件にのぼる現場を経験し、年間50~60棟をこなしてきましたが、ただ図面通り建てるのではなく、もっと家そのものの価値を追求して、お客さまの心に寄り添う家をつくりたい!と思ったのが独立のきっかけでした。 自分が本当にやりたいことを形にしたいから、手掛けるのは新築の注文住宅が中心です。香川県内で年間5~10棟、まったく同じ家は一つもありません。今まで建てたどの家も印象的で、全部覚えていますよ。今も近くを通りかかった時は顔を出しています。建ててくださった皆さまとは、文字通り一生のお付き合いだと思っているんです。
物販ではなく「気持ちを売る」のは昔ながらの大工が当たり前にやっていたことですが、今は何でもコストばかり重視する時代になってしまいました。でも、家の何たるかを理解して建てた家はやっぱり違うんですよ。大工として長年経験を積み、ミリ単位の精度を追求してきたからこそ、高性能な住宅には丁寧な施工が欠かせないことを痛感しています。
その点、現場の職人たちとのコミュニケーションがスムーズなのは元大工の強みといえるでしょう。当社の大工もみんな私の家づくりへの思いに共感してくれる人ばかりで、今後も同じ熱意を持つ若い人材を育てたい。喜んでいただける家をつくるには、スタッフが一丸でなくてはいけませんからね。
家づくりにおいて大切にしているのは、「家族みんながずっと笑顔で快適に過ごせる家」であること。耐震・防音・耐火・気密性にすぐれた2×4工法で、四国の無垢材なども使いながら性能の高い家を提案しています。
香川の風土に合う「本当の高性能」が今後の課題で、この土地で過ごしやすい家をトータルで考える必要がある。きちんとした断熱+遮熱によって夏を涼しく過ごせるほうがいいし、日照率が高いから、太陽光発電はおすすめしますよ。省エネはこれからますます不可欠な要素になるでしょう。
お客さまの真のニーズを引き出すのが、私の仕事です。予算の枠は守りつつ、お客さまにとって一生に一度の買い物であることを肝に命じて、できることを提案する。メリットもデメリットもきちんと説明するから、クレームも少ない。おかげさまでご紹介のお客さまが多いのは、信頼の証と受け止めています。 大工として、ご要望に「できない」とは言いません。すべて叶える自信がありますし、大工だからこそできることがきっとあるはずだと思っています。